オオタザクラの移植
今日、飛騨の白川郷で生まれ育った一本の桜の木が、はるばる成章高校まで運ばれ、中庭に植えられました。この桜の木の品種名を、オオタザクラといいます。
このオオタザクラの名は、この桜が新種であることを報告した太田洋愛(本名:保、1910~1988)にちなんでつけられています。太田洋愛は成章高校の前身である旧制成章中学校の卒業生で、ボタニカルアート(草花を精確に、かつ特徴をつかんで描き出す手法)の日本における先駆者です。オオタザクラは現在、白川郷にあるそれぞれ1本ずつが、岐阜県天然記念物と白川村天然記念物となっています。
今回移植されたオオタザクラは、白川郷の本覚寺から、武山教子さんをはじめとする岐阜成章会の役員の皆さまのご尽力もあり、天然記念物の1本から分かれた個体を譲り受けたものです。豊橋と飛騨の造園業者が協力し合って、今日、無事に成章高校の中庭に定植作業がされました。幹回り40cm、高さ5m、樹齢およそ20年の、思ったより大きな木が、何人もの人によって時間をかけて大事に取り扱われていました。業者さんの話では、うまくいけば数週間で花が咲くのでは、とのことです。
このオオタザクラの移植は、成章高校創立120周年記念事業として行われています。来る4月30日(金)には、「オオタザクラ植樹式」を開催し、あわせて記念講演会を開催します。講演会には、太田修平氏(太田洋愛氏の御子息)と、原田秀嗣氏(本覚寺の御住職)、増山禎之氏(田原市博物館館長、高33回)にご登壇いただく予定です。詳しい内容は近日中に本ページで詳しく紹介しますので、もう少しお待ちください。
なお、コロナ禍のため、講演会は生徒の皆さんと実行委員会の関係者のみが会場に入ることになりそうです。
▼移送前の様子(白川郷)
移植作業にご協力いただいた株式会社門造園土木代表の松井様によると、移植をする際、樹木が弱わらないように事前に根っこを切っておく作業(根回し作業)が必要で、そうすることで切ったところから根がたくさん出て来て、樹木を移動させた後でもある程度の根の量を確保出来るのだそうです。
この根回し作業は木としても準備期間が要るため、今回の移植の場合は1年前の春先(2020年3月31日)に既に作業が行われ、今年3月24日の移植当日を迎えました。
(よく事前に段取りをしておくことを「根まわし」といいますが、この根回し作業から来ているとのことです)
▼移送後の様子(成章高校)
白川郷からはるばる運ばれてきた重さ500kgのオオタザクラは成章高校の中庭に職人さんの手で丁寧に定植されました。これから毎年きれいな紅紫色の花を咲かせてくれるのが楽しみです。